今回は教員の残業の闇について今回はお伝えしたいと思います。
残業とは,定時を超えて終わらなかった業務にあたることを指します。
教員は給特法によって,基本給の4%が手当として支給されているかわりに
残業代がほとんどつきません。
残業代が支給される条件は超勤4項目に限定されており,それ以外は教員の
自主的な残業であり職務命令ではないというロジックです。
では,どのような理由で残業が発生してしまうのか。
1.部活動
まずは部活動です。教員の勤務時間は7時間45分と決められています。
休憩時間は昼休み45分,それとは別に15分の休憩が認められています。
8:20から勤務開始だとすると,16:50が退勤時間となります。
平日の放課後に16時から2時間活動すると,18時頃に活動終了です。この時点で
退勤時間を1時間くらい超えています。この後に文書処理や授業準備,家庭への連絡など
諸々の事務処理をします。授業の合間にすることもありますが,まとまった時間を取れる
のがここしかないことが多いです。授業の合間は,電話対応や来客対応,急な案件がくる
ことがよくあります。誰にも邪魔されないのがここの時間です。
私が経験した中で大変だったのは,部活動の大会引率です。
遠方で大会がある場合に宿泊するか当日いくかで迷い,保護者の経済的な負担を考え
当日会場へ行くことにしました。タイムスケジュールは
(1)4:00 起床
(2)5:00 学校到着
(3)5:30 学校出発
(4)7:30 会場到着
(5)8:00 受付
(6)9:00 競技開始
(7)15:00 競技終了
(8)17:00 学校到着
(9)18:00 帰宅
(10)(1)~(9)を3日間繰り返す
疲れました。
2.生徒指導案件
学校では生徒に関する様々な生徒指導案件が,突発的に発生します。
(1)いじめ
いじめの指導はとてもしんどいです。なにがしんどいかというと,時間が多く取られ,
それ以外に何もすることができないのです。
例えばいじめを訴えてきた生徒がいたら
(1)その生徒から加害者の名前や状況を確認する
(2)学年主任へ報告をし,指示を仰ぐ
(3)加害者が生徒の場合,複数の教員で聞き取りを行う(ここが既にしんどい)
(4)被害生徒がいじめであると感じてたらいじめである。
加害生徒が「そんなつもりじゃなかった」は通じない。
(5)聞き取りの結果を確認して学年主任へ報告,指示を仰ぐ
(6)緊急の職員会議
(7)被害生徒の保護者へ連絡,学校としてのこれからの対応を伝える。
(8)加害生徒の保護者へ連絡,学校へ召喚して事実を伝える。
(9)加害保護者同席のもと学校長より生徒へ指導・申し渡し(大体家庭謹慎になる)
(10)翌日から加害生徒宅へ家庭訪問する(課題や日誌,反省文の回収)
(11)回収したものをコピーする(管理職・各学年回覧用)
(12)(10)・(11)を繰り返す。
(13)指導の見極めのため,加害生徒を登校させ複数の教員と面談する。
(14)指導が十分に入り,反省が見える場合に緊急の職員会議
(15)加害生徒および保護者を学校へ召喚する。
(16)保護者同席のもと学校長より生徒へ指導・申し渡し(家庭謹慎の解除)
(17)被害生徒へ加害生徒が謝罪する機会を設け,謝罪する。
これを普段の業務のほかに最優先でします。
授業時間以外はいじめへの対応に時間が取られ,帰宅は日付が変わることもあります。
私の場合は,子どもが産まれた日に生徒が保健室の先生へいじめの相談をして発覚。
学年主任に対応してもらったが,妻の出産後に2日だけ休みをもらいました。
学校へ行ったらいじめの対応に追われ,2週間ほど7時出勤,12時退勤という生活でした。
もうね,肉体的にも精神的にも最悪でした。
(2)不登校
不登校への対応も時間が取られます。
不登校とは特別な理由がなく30日以上欠席している状態を指します。
管理職からは3日連続で欠席したら家庭訪問するように指示されていました。
不登校はある日突然なることもあれば,徐々にフェードアウトすることもあるので,
どこかで学校とつながっていればいずれ登校するかもしれないと管理職は考えていたのでしょう。
経験から言って,不登校の生徒に教員が何かできることはありません。
はっきり言います,なにもできません。
保護者と話をして,その苦悩を一緒に感じるくらいしかありません。
クラスメイトからの手紙や寄せ書き,教員の語り掛けなどは「やってます」という
アリバイ作りでしかありません。
そんなもんです。
教員からの働きかけで不登校が登校するようになるのであれば,
はじめから不登校になりません。
(3)迷惑行為
生徒が学校外で迷惑行為をしているときに,学校にまず連絡が来ます。
例えば空き地で騒いでいる生徒がいると近隣の住民から連絡が来たり,
バイクでスピード違反しているとクレームの電話が来たりします。
騒音やスピード違反は警察の仕事なので,ぜひ110番通報をお願いします。
学校に連絡が来ても生徒個人が特定できない限り,全体に「やらないでねー」という
緩い指導しかできませんよ。
それよりも,その行為を確認したときに学校に連絡する前に,あなた方が直接生徒本人に
言ってください。放課後に生徒が下校したら学校は基本的に管轄外です。
学校外の活動にまで我々は責任を持てません,保護者の責任です。
3.学校行事
体育祭や文化祭の準備で時間が取られます。
昼休みや放課後に各行事の委員会を招集して打合せを行います。
実施直前は準備が忙しく,放課後に多くの時間を割かなければなりません。
クラスや団体で文化祭の準備で遅くまで残った思い出のある人もいるでしょう。
その生徒が帰るまで教員は帰れません。
学校行事は有意義であると感じる一方,担当者の負担は大きいです。
教員の中には行事の主担当が嫌で駄々をこねて若手に担当させる老害(男女問わず)がいます。
若手の倍くらいの給料をもらいながら仕事量は半分以下です。
もうねやる気を削がれますよ本当に。
修学旅行は超勤4項目に該当するので勤務の振替(振休)や特殊業務手当の支給対象です。
4.出張・会議
研修や会議で勤務時間をオーバーすることはほとんどありませんが,開催場所が
学校や自宅から遠い場合は結果的に残業と同様の帰宅時間となることがあります。
ある研修(悉皆)に参加するため,移動距離が長い場合もあります。
そうなると,会議自体は勤務時間内に終わっているのに,帰宅時間は2時間残業したのと
同じくらいの時間になってしまいます。公共交通機関が発達していない田舎の場合は車移動が
必須なので,軽い旅行です。高速道路の利用も片道のみしか支給対象ではなく,帰りは下道を
走るか自腹で高速を走るかです。下道は時間もかかり,肉体的にも大変疲れます。
研修自体はオンラインでしても差し支えない事務連絡や情報共有が多く,必ずそこの場所に
行かなければならないようなものはあまり思い浮かびません。
部活動の組み合わせ抽選会くらいでしょうか。
5.まとめ
生徒に関わることが起こると,定時で退勤することは不可能です。
部活動や生徒指導案件を例にみれば理解いただけたかと思います。
教員に残業代はつきません。給特法によって4%の手当てが支給されるのみです。
残業をしなければならない要素は多くあり,避けることが難しいです。
残業をしたくてしている先生は部活動に熱中している迷惑な方々だけだと思います。
残業をしなくて済むのであればそれに越したことはありません。
残業をしないで勤務時間で終えられる業務になることを心から願っています。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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